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法テラス青森地方事務所訪問記

米山達三弁護士 インタビュー

【はじめに】
 法テラス企画の第1弾として、青森地方事務所でスタッフ弁護士として活躍しておられる米山達三先生にお話を伺ってきました。 スタッフ弁護士の業務内容などを具体的にイメージしていただけるかと思います。 将来の働き場所のひとつとして法テラスを考えている法科大学院生、若手実務家の皆さんには、 特に法テラスでいきなり活動を始めることへの不安についてお聞きした部分を読んでいただけると、 米山先生のお言葉が非常に心強く感じられるのではないでしょうか。


【経歴、取扱事件など】

━━━ 本日はよろしくお願いします。スタッフ弁護士の具体的な仕事内容など、 将来スタッフ弁護士になろうとする場合に何が気になるか、という視点からお話を伺えればと思います。 それでは、簡単にご経歴を教えていただけますか。

 弁護士の米山達三と申します。千葉県出身で、東京都内の大学を卒業後弁護士になり、 千葉で1年間イソ弁として働いていました。
 その後、法テラスへ参加しようと思い、平成17年の8月に応募しました。 第1期にあたるのですが、時期が遅かったため任地の希望は言えず、青森に行くことになりました。
 この任地について不安があるという人もいますが、困っている人のために赴任するのだから、 自分の希望を言う必要はないのではないかと思います。

━━━ 法テラス青森事務所ではどのような事件を扱っているのでしょうか。

 大体3分の2がクレサラ事件ですね。東京などでは破産事件には代理人がつくのですが、地方では本人申立の破産が普通です。 保証人や住宅ローンの扱いがないがしろにされていて、ここに地方の司法過疎の実態が出ているのではないかと感じます。 地方は破産が多いのですが、弁護士はまだまだ足りていないのが現状です。 破産と言えば、駅前に看板が出ているような大手の金融会社はやりやすい相手なんですよね。 それよりも地元の金融屋さんなどが、なかなか難しい。 今後もこういう状況が続いていくのだろうと思います。
 他には、離婚、交通事故、労働問題、貸金請求が多いですね。

━━━ 扱う事件が偏ってしまうのではないかとの不安がよく言われるのですが、その点についてはいかがでしょうか。

 取り扱い案件が偏るという問題は、確かにあります。当然、企業法務などはできないし、契約書作成も示談契約書を除いてはありえませんからね。 ただ、普通に地方で事務所を開いてもこういう構成になるんじゃないでしょうか。 それよりも特徴的なのは、(地方事務所に併設された法律事務所に勤務するスタッフ弁護士の場合)やはり国選と扶助に基づく事件のみ扱うところです。 そのためにクレサラ事件が多くなるのではないでしょうか。

━━━ 国選弁護の話が出ましたが、スタッフ弁護士の皆さんの中でも刑事弁護に集中的に取り組みたいという方は多かったのですか。

 刑事専門でやりたくて応募した人も多いですよ。ただ自分は、刑事・民事どちらもやりたいと思ってます。 困っている人のためっていうのがスタッフ弁護士の存在意義だと思っていて、それを実現するには両方やらなきゃいけませんからね。  さいたまや多摩といった都市型事務所なら、複数の弁護士間で役割分担をすることも可能かもしれません。 実際にさいたま事務所の村木先生は刑事事件を中心に扱ってみえるようです。

━━━ 業務に関して、不便などを感じたことはありませんでしたか。

 不便というか、業務開始当初は決まっていなかったことが多かったですね。 本部への報告書類が面倒ということもあったんですが、最近は改善されてきています。 スタッフと本部の意見交換がうまくワークしてきたからでしょうか。
 ただ、事務員の採用などについては、まだ言っても通らないことが多いですね。 増員したい場合は公募することが条件になるし。でもよく言われるような、 経費についてのクレームが来たことは一切ないですよ。弁護士業務についての指示などもありえません。 最高裁や法務省が運営に関与することで弁護士活動の独立が揺らぐということはありえないです。 そういうことを言う人は多いのですがその点は全く心配いりません。
 法テラスに対して嫌がらせをする人もいるみたいです。 確かに、国選の報酬が下がったりしたので納得のいかない弁護士は多いんでしょうが、 今までの制度でうまくいかなかった部分を公費で手当てしようとするのだから、方法論としては間違っていないと考えています。 裁判員裁判も、いままで国民をないがしろにしてきたつけがまわってきたということですよね。 どちらも意義のある制度であり、やらないうちに批判する筋合いはないんじゃないでしょうか。