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(2)MAIMENの今後について

――MAIMENの将来的な見込み・展望をお聞かせください。Webサイトに「将来的には税理士や司法書士、社会保険労務士の方たちも招き入れることで、市民の皆様に『MAIMENならすべて解決してくれる』と言っていただけるような、いわゆるワンストップサービスの構築を実現させるべく、頑張って参ります。」とありますが、このあたりを詳しくお願いします。

事務所外観

鏡味:現状では、ワンストップサービスというのはまだ目標です。今の段階でワンストップサービスに近いものが実現できているという自覚はありません。
現時点で良い効果が表れていると感じるのは弁護士と行政書士が同じ事務所にいることです。弁護士と行政書士の間ではよく非弁活動が問題になります。行政書士が弁護士しかできない分野のことに手を出して、それで飯を食う。それがどの地域でも問題になっていて、長野でも弁護士と行政書士の対立がなかなか激しい。行政書士の資格を持つ尾西も形式的には事務員ですけど、弁護士と行政書士の資格を持つ事務員が一緒の事務所でやっているということなので、そこを問題視されることは充分あり得ました。でも実際は、尾西がやっているのは法律事務所に関しては事務員としての仕事だけなので全く問題はなかったですね。むしろ彼が行政書士だということで、行政書士の仲間が行政書士ではできない紛争性のある事件を「おまえのところの弁護士でやってくれないか」という形で投げてくれるんです。おそらくですが、弁護士会の人たちは行政書士と組むことで非弁問題をむしろ回避できるのではないでしょうか。実際にやってみてその手ごたえを感じます。もちろん非弁活動については僕らも反対なので、そういったことは疑われないようにきちんと線は引いています。
 という訳でワンストップサービスというにはまだほど遠いですけど、一緒に他士業がつながりを持ってやる事で、得られるメリットは変わります。今後は、できれば司法書士とか税理士などの資格を幾つか持っている人で集まって「この事務所に来たら全部解決する」というのを目指しています。実際今は、遺産分割事件をやっていても紛争性があると調停や審判などは弁護士でないと代理人はできないんですが、それが終わると土地については移転登記しなきゃいけないとか、税務が関係することがあります。その部分については「司法書士さんや税理士さんに頼んで下さい」と今のところは言わざるを得ない。それをしないで良くなる、うちに任せてくれれば全部やるので、と言えるようになったらいいな、と。

――なるほど。現在は、尾西さんが行政書士をされているということですが、金沢さんや稲村さんも他の資格を取られる、というわけでしょうか。

稲村:それは、ちょっと考えています。元々、金沢は行政書士の資格を持っておりまして、登録していないだけで、やろうと思えばできると思います。あとは、司法書士や税理士とか欲しいですね(笑)。ただ、もともとロースクール卒業生で、司法試験の勉強をしているので、まずは司法試験をがんばりたいと思っています。司法試験に受かれば司法書士や税理士は登録できますよね。今の試験制度だと、税理士とか司法書士を一から目指すよりも、司法試験に受かっておいて登録だけ司法書士・税理士でするという方が資格を取るだけという意味では近道だと思います。ただ、実際それで登録しても、実務的なことは全く分からないので、それはそれで自分でやらないといけないと思いますが。

――最終的には、この事務所にいらっしゃる方は全員が、司法試験にまずは合格しよう、ということでしょうか。

鏡味:新しい弁護士ももうすぐ入りますし注3、司法試験に興味を持っていない尾西はともかく稲村や金沢には受かって資格を取ってもらいたいです。僕は、個人的には自分が弁護士じゃなくてもいいと思ってるんで。ほかに弁護士が増えて自分が他の資格で登録して何かできるんであればそれも楽しそうだな、と。弁護士じゃなきゃいけないとは思っていません。その時は事務所のカネで勉強します(笑)。

――これから司法書士や税理士が増えたらいいなということでしたが、その拡大のイメージというのはどのようなものでしょうか。元々の仲間を中心にして広げて行きたいということなのか、それとも有用な人材であればどこからでも迎えようということなのか、そのあたりはどうお考えでしょうか。

鏡味:閉鎖的にするつもりはないのですが、基本的には仲間内でと思っています。元々始めた理由が、気心が知れている連中であれば色々効率の良い面・融通が利く面があるということだったので、そこは最大限生かしていきたいと思います。外部から人を入れることで得られるメリットはあると思うのですが、やはり自分達の個性は維持したいので人間的に繋がりがあり信頼できるという人とやっていけたらいいな、と。

――元々即独という道を選ばれたモチベーションも、そのあたりにあったということですよね。

鏡味:そうですね。仕事だから厳しくて当たり前、と世間ではよく言われますが、僕たちはそうは思ってないんです。もちろん仕事の内容それ自体は集中して臨まなければならないものだと思っていますけど、職場の雰囲気や人間関係は落ち着ける環境を求めていいんじゃないか、楽しくて仕方がない職場があってもいいんじゃないかって。
 それから事務所拡大となった場合、もちろん須坂に事務所は置いておきたいのですが、もしできるのであればこういった形でまた弁護士が足りていないところに事務所を設立するということはやってみたいです。法律事務所のままだと2件目・2号店みたいなのは出せないので、規模的に可能になってくれば弁護士法人化したいです。法人化すれば2号店が出せるので、やってもいいかな、と。一つの事務所として1号店・2号店ということで、情報も共有するしノウハウも共有するし経理の面も法人である以上は一つにして。

――イメージとしては、法律事務所MAIMENから、弁護士法人MAIMENという形になっていくのもいいかなということですね。

鏡味:個人的には、それが理想ですね(笑)。かなり先のことだと思いますが。

――即独を成功させる上で、この要素は外せないということはありますか。繰り返しの質問になってしまいますが、即独って面白そうなんじゃないかというのがまさに僕らの取材のきっかけでして、即独をした先輩に話を聞きに行こうかというのが始まりだったということがあるので。

鏡味:一番の要素というと、なんですかね、やっぱり、仕事を始めた時に仕事が入って来るというのが一番重要だと思います。どれだけ修習でノウハウを磨いてやる気と自信と能力を揃えたとしても、仕事がなかったとしたら得たものを発揮できないので。それで飯を食っていく、つまり事務所としてやる以上には依頼があるということが第一です。依頼が最初からあるという状態をどうやって作り出すかが一番重要なはずで、自分達も実際にそこに一番ポイントを絞っていました。どこでやれば仕事が来るかとか、何をすれば客が来るかっていうのを、かなり詰めて考えていましたね。スタートの段階でそれをしっかり実現するというのが大事だと思います。
 正直、僕一人だったら絶対無理だったと思うんです。修習を終えて二回試験もあって、その後すぐに自分で事務所を見つけて準備して、というのは間違いなく無理でした。尾西はじめ他の事務員が、僕が修習をやっている間に準備をやってくれていたので、修習が終わった段階ですぐにそれに加わって準備できたというのが大きかったです。

――実体としては、弁護士が1人いて事務員3人を雇っているというのでは全くなくて、それぞれが全員で事務所を作っているということなんですね。

鏡味:むしろ、F1チームみたいな感じです。車の運転をするのは自分だけど、タイヤを変えてくれたりコース取りとか色々情報を与えてくれる人がいたり、どれが欠けても無理だよね、ということだと思います。

――即独に欠かせないものは、一緒に計画を練って一緒に目標を実現できる仲間、ということでしょうか。

鏡味:そうですね。少なくとも僕の場合はそうだった、という感じです。ただ、一人で独立されている方もいらっしゃるので、即独だけに絞れば「仕事がある」ということが一番大事なので、一人であろうが仲間とであろうがそこについての検討をきちんとする、というのが一番大切なのかなと思います。

――それでは、長々とありがとうございました。

鏡味:こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。

左から、鏡味さん、稲村さん、藤原寛史さん、尾西浩貴さん、金沢理映子さん


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