対談・インタビュー
Legal Professionals
臨床法学教育特集
分配可能額計算システム



<4> 阿野法律事務所


 多角化経営のため大規模事務所が次々と統廃合している昨今、気になるのは個人事務所の存在です。また、東京を舞台とせずとも、地方へ行けば行くほど一人で業務をされている弁護士の方々が多いはずです。ではそうした先生方がいったいどういう心持で個人事務所を開いているのか。我々学生の中にも将来個人事務所という形態を目指す者もいるので、その利点・欠点を直接伺ってみようというのが今回の訪問なのです。我々は、本HPの立ち上げパーティーにもお越しいただいた阿野先生の事務所を訪れることにしました。東京は六本木、アークヒルズの近く。南北線六本木1丁目駅で降り、見慣れぬゴージャスなビルディングを抜けると、閑静な住宅街に程近い所に事務所はあります。

1 阿野法律事務所について

――本日は訪問させていただきありがとうございます。今回は個人事務所をテーマにして色々お聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。

阿野: 個人事務所の特長を、ですね。こちらこそよろしくお願いします。

――まず、先生はこうして個人事務所をやられているので、弁護士は先生一人でしょうが、他に事務所を構成されている方がいれば、是非教えてください。

阿野: はい、私の他に、秘書が一人います。彼女はコンピューターにも強いので、先日も急にPCがトラブルになったときにハードを交換し、旧PCのデータを新PCにすぐ移してくれたりと、業務を行う上で色々助けてもらっています。

――計2名ですね。では次に、事務所の場所をここにした経緯をお伺いしたいと思います。

阿野: 本当は当初、神谷町という、裁判所や弁護士会館に近い所で探しました。東京弁護士会の図書館など行けば、パソコンに判例集などはすべて入っているし、そこでやったほうがリース料払うよりいいだろうと考えたわけです(笑い)。でも手頃な所がないまま六本木と神谷町の中間まで来てしまったら、5年後に突然、南北線の駅が目の前に出来て非常に便利になった(笑い)。

――先生のためにできたようなものですね(笑い)。では依頼者層についてお聞きしたいのですが、近くにはアークヒルズやサントリーホールがありますし、つまり偏見ですけど、セレブな人が行きかうことの多い場所ですよね。そうすると、個人事務所で町弁であっても、依頼者の層というのはやっぱり一般階級よりちょっと高かったりしますか。

阿野: 残念ながら全然関係ありません(笑い)。例えば、都内の端の方で困っているお婆さんから相談が入って、事務所に来てもらうのも大変なので、自分で車を運転して依頼者の自宅に行って事情を聞いたり、その事件の管轄が都外なので、その裁判所に依頼者を送り迎えするような事件もあります。だから、麻布台でやっているからといって六本木ヒルズの人たちが来るとは限らないですよ、残念ながら(笑い)。まあ、依頼者の中には、一方では、資産家の一族もいれば、本当にボランティアで債務整理を受け持っている人もいるし、そういう意味では、個人事務所は面白いですよ。いろいろな人からいろいろな相談があって、社会の色々な断面を見られるから。

――なるほど。あえて言うなら、ヒルズも下町も、というところでしょうか(笑い)。


次のページへ >