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<8> 法務省民事局


法曹の仕事というと、実際の事件で法を駆使する姿を想像しますが、今回はそのキャリアの中で一旦実務を離れ、法案作成という仕事に携わる法曹を紹介します。六法を開くと立法は国会が行うとありますが、その原案の作成に実務家が携わっているというのは意外と知られていない姿です。実務家が法案作成に携わるのは、法務省においてもここ最近でようやく活発化してきていますが、今後法曹人口が増加するにつれ、地方自治体等でも実務家が法案作成に携わる機会は増えていくと思われます。このような状況を見据えた上で、今回は法務省民事局で働く実務家の方々を訪問して、法案作成をとりまく現在の状況について伺ってみました。

 

1.法務省民事局の概要

――本日は、法務省にある民事局参事官室にて、坂本局付(裁判官)、冨田局付(検察官)、仁科局付(弁護士)、野上局付(裁判官)からお話を伺います。宜しくお願いします。


早速ですが、法務省民事局という部署にあまり馴染みがないのですが、どのような部署なのでしょうか。


野上:それでは私の方から簡単に民事局についてご説明いたします。法務省には大臣官房の他に6つの局がありまして、民事局はそのうちの1つなのですが、民事局の仕事としては大きく分けて2つあります。

まず一つ目として、登記、戸籍・国籍、供託、公証に関する事務を行うという仕事があります。これらの仕事は、民事局参事官室というよりは、民事局の中の他の課や各地の法務局が担当しています。

そして、もう1つの民事局の仕事として、民法とか商法といった民事の基本的な法律、あるいは政令、規則等の制定や改正に際しての法令案の作成という事務があります。これについては、参事官室だけがやっているということではないのですが、参事官室が中心になって仕事をしています。今日ここにいる4名は、その民事局参事官室で仕事をしています。

――そうすると、法曹資格を持っている方は、やはり立法を担当する参事官室に多いのでしょうか。それ以外の課には法曹資格者はいらっしゃらないのでしょうか。

坂本:他の課にもそれぞれ法曹三者の出身者はいます。各課の課長はだいたい法曹資格者ですし、各課には局付という肩書きの法曹資格者がいます。ただ、局付は各課1人ずつしかいないのが普通ですね。

――なるほど。民事局参事官室の局付の方は何人くらいいるのでしょうか。

坂本:裁判官出身者が一番多いですが、検察官出身者や、弁護士で任期付公務員として来ている者も、それぞれ複数名います。

冨田:検察官出身者は、参事官室だけでなく他の課にもいますが、民事局の中では少ないですね。逆に、これが他の局だと、局付は検察官出身者の方が多く、そこに裁判官出身者が何人かいるというのが現状だと思います。

――民事局に検察官出身の方がいらっしゃるというのは、意外な感じがしますね。

冨田:なんでなんでしょうね、私自身も意外でした(笑い)。ただ、諸外国では、そもそも法制度が異なりますが、民事専門の検察官というのも珍しくはないようです。

――参事官室に法務省のキャリアの方はあまりいないのでしょうか。

坂本:参事官室には少ないですね。そういう意味では参事官室はちょっと特殊ですね。法曹以外にも法務局から本省に来ている人やキャリアの人もいますけれども、いわゆる事務方の仕事が中心です。参事官室は基本的に法曹が多いですね。

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