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(3)企業側の反応

――弁護士側がそうだと、会社側の現状はどうですか。

鳥飼:企業が経済的な取引をしようとするとき、税金を計算して行動すべきだから、本来、税法って必要でしょう。ところが、企業法務は、企業の経済面を扱う仕事をするにも関わらず、通常はほとんど誰も税法面に関与していないんですよ。法務部ですら、まして、関心の度合いが著しく低いのが税法なんですよ。中には、自分たちの職域でないとさえ、専門の弁護士と専門の法務マンが言っている。これはキャッシュフロー経営の観点からすると、異常な事態なんですよ。

――先ほど、平成16年ころを境にグローバル化が訴訟に影響を与えたとのお話がありましたが、企業に対しても、税務に関して法律家を入れなきゃいけないんだというような影響はなかったのですか?

鳥飼:まったく広がってないですよ。われわれがやってる仕事は、訴訟関係から始まるという基本がぜんぜん変わらない。だって、今でも、更正処分を受けても争わない企業が圧倒的多数。それはおかしいだろうと争うところと、やっぱり背景には取締役の責任の問題で、大規模訴訟とか出てきたから、ちゃんとやんないと、まずいぜとなりつつはあります。だって税金払ってお金が社外に流出するんだから、それがちゃんとやってなかったら責任になるから。ある程度、争う必要はでできたけど、全体からすると、目に見えないくらいの数の少なさ。

――中小企業に広がりがあまりないとすると、鳥飼総合法律事務所で受け持ってるのも大企業中心になっているのですね?

鳥飼:うん、そういうのが多いね。

4、弁護士側の「改革」

(1)「改革」の必要性

――依頼者である企業側に、税務における弁護士の必要性が浸透していないとすると、依頼が来たら受けるという従来のやり方が通用しないのですね。

鳥飼:われわれも革命の必要性は感じてるんですよ。われわれにとっては革命なんだけど、社会からみると、あたりまえのことをわれわれはやってないですよ。税務訴訟もそうですけれども、社会にある潜在的需要を掘り起こしておりませんから。相談に来たのを受けてるだけで。ところが、社会には潜在的にいくらでもあるわけですよ。その中をちゃんと見ると、更正処分おかしいですよというのはある。こちらの方から、こういうの問題じゃないですか、大丈夫ですか、という一種の営業や問題提起をまったくやってません。来るのをただやるだけ。もうそれで手いっぱいだから。

――司法試験でも、法的問題点のある事実関係を前提に、法的処理が問われますよね。

鳥飼:一番問題なのは何かというと、事件があることを前提として、それをどう処理するかしか、試験の対象にしていない。われわれ弁護士も来た仕事だけで十分忙しい中でやってきてるから、社会的にあるいろんなことを掘り起こすという発想はまったくありません。
 ところが、実際には世の中には潜在的な法律問題がたくさんあって、税務問題の中にも法律問題がたくさんあるのに、われわれはそこに一切目も触れず、来たものだけを処理すると。本当は社会のためになるんだったら、現場が問題だとして持ってきたものだけじゃなくて、もっと大きな問題を掘り起こさなきゃ。われわれは受け取ったものだけ、相談したものだけやるという体制から、少し社会に出て、現場を見させてくれ。なんか問題あるんじゃないですか。なにか困ったことありませんか。あ、これは意外と問題あるんじゃないか。こういうことをやるうちに、あ、これは意外と大きな問題だとつきあたる。われわれにとって新しい領域です。実はそれはコンサルティングの人とか税理士とか、他の人がやってる領域なんですね。

――社会ではすでに行われていることが弁護士業界ではまだやれてないのですね。

鳥飼:仕事を待っているのって下請けでしかないんですよ。弁護士事務所に「契約書をチェックして。」と。これは下請けなんですよ、法曹ってのは。仕事をつくってるコンサルティング会社はわれわれの10倍以上もお金をもらってる。そういうことが現実ですよ。自分たちの業界が社会の中でどういう位置づけをもってるのか、その中で自分の立ち位置はそうするのか。弁護士事務所はそういうことを考えていかないといけない。

(2)「改革」がもたらすもの

――いまおっしゃったように、今までの慣行や行政官の裁量などで運営されてたんだけれど、法律の結論としてはこうなるはずだ、おかしいんだと問題提起をしていくことで、弁護士が働くいろんな領域や場も増えていきますね。

鳥飼:増えますね。

――そういう意識からすると、弁護士の仕事もまだまだ残っている。弁護士が足りないくらいに。

鳥飼:足りないですよ。たとえば、消費者系の弁護士が地下鉄で広告を出してますよね。最初見たとき、なんでこんなことやるんだろうなと思っていたんですよ。