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――弁護士が広告を出すのはあまりないことだった記憶があります。

鳥飼:僕らの常識では、お客さんは誰かの紹介を前提としていたんですよ。ところが、彼らは誰でもいいからこいと言う。広告宣伝費まで使って。破産をしたい人、債務整理で困ってる人、こちらにこいと。そうすると、一件一件は小さいお金なんだけど、過払金の返還訴訟は全体で数千億円にも達するそう。われわれの企業法務をはるかに上回る収益をあげるようなことをやってきたんですよね。

――(一同驚く)想像もつきませんでした。

鳥飼:ここまでくると、産業化している。われわれ中堅事務所もできてないことを作りあげた。そういう需要が社会にあるということを彼らが認めて、最高裁判例をきっかけとして、それを掘り起こした。営業をかけて、自分たちが出てってね。

――それなりの意識を持ってやった結果なんですね。

鳥飼:それを標榜するような人たちが影でちらほら見えてきてる。そういう人たちが大がかりになると市場が生まれる。ちゃんと敏感に反応するような弁護士が出てくれば、そこも市場になりますよね。

――現在、弁護士の就職難の理由の一つに仕事が足りないということが言われてましたが…。

鳥飼:就職できないのは嘆くことない。忙しい事務所に入ってしまうと、それ以上考えないしね。就職できないからこそ、必要に迫られて潜在的需要を掘り起こすことができるんだよ。

――そのような発想はまったくありませんでした。

鳥飼:ロースクールでも言うべきだと思うんだけど、弁護士の仕事は本来作れる。自分が仕事を作っていくんじゃなくて、どこかで仕事があることが前提としてる。そういう発想だから、就職先がないとどうしていいか分からない。他の業界からいうと、なに言ってんですか、あなたがたは。仕事ないなら仕事作ればいいじゃないか。やることやってないじゃないですかと。世の中の人に接することの中で、自分の仕事を見つけていくんだから、就職はあまり大事だと思わなくていいくらいの心持ちでやった方がいいんじゃないかと、僕は思うんだけどな。

5、専門性の身につけ方

――だんだん税務における問題と思っていたことが税務に限らないことが明らかになってきました。自分自身で仕事を作る意識をもつことが求められていると。

鳥飼:もちろん、新人弁護士が最初から営業を意識して仕事を作るのは難しいけどね。なぜかって、税法実務を完璧にマスターしてないから。税法の科目とりましたって言っても、実際は使えない。だから、ある程度の期間は、事務所なりで仕事をする必要はある。

――そこの事務所で仕事を覚えさせてもらうと。

鳥飼:本当は、新人弁護士を養成するサポートできる場がほしい。法テラスもあるけど、あそこだけでは十分じゃない。実務をやりながら、先輩弁護士もいながら、来たい人が来て、独立できるような、中間施設というのかな。就職できない人とか、就職できたけど軒弁さんとかにね。

――そのようなところでも、専門性が身につけられるのですか?

鳥飼:専門はやってくうちに自然と身につく。自分に与えられた事件をひとつひとつ追及する中でね。それに、まだ専門家がいない領域って、意外と多いんだよ。

――ロースクールのときから、専門性を目指して勉強するのは必要だけど、目指すのはまだぜんぜん早い?

鳥飼:もちろん、決めていい人もいる。それはそれで満足いく。だけど、本当の意味での専門性ってのは珍しいのであって、やってくうちに自然に、場合によっては何十年もたってから、やっぱり天職だなと思えるものがあったら、そっからやっても遅くないんじゃないの。

――そのような発想はあまりありませんでした。あくまで、専門を作ってから仕事を探すのだと思ってました。

鳥飼:ふつうは事務所に入るじゃない。事務所に入って仕事を任せられて、はじめは歯車だけど、元気がいい。自分の領域だけじゃなく、全体を見渡して物事を考えて、こうやったらどうですか、ああやったらどうですかとアイデア出すとするじゃない。自分ができなかったら、知識持っている人に聞きに行く。そこに行くと、あっちの方がもっとすごい意見持っている人がいるから聞きにいったら、とか教えてもらえる。逆に、この人が最高峯だと思っていたら、全然限界あってよくわからんとか。つまり専門家不在の部分もでてきたり。そうするうちにだんだん、仕事をやっていくうちに、実は専門性を築けるんだよ。専門性築ける人は自分の努力も必要だけれども、自分より能力の高い人の所に行ける人なんだよ。