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――経験談を踏まえたお話を頂き、ありがとうございます。仕事を自らとるということが専門性の獲得につながっていく過程がよく分かりました。

鳥飼:ロースクール生の人に言いたいのは、自分が裸になって全然仕事がない中でどうやってやりますかって、そこに置かれたなかで生き残る策はあるんですよ。逆にその場合チャンスなんですよということをロースクール生に知ってほしい。いくらでもチャンスは作れるのであって、そこの所を先輩達の行動類型を見て、どこかに就職しなきゃダメなんだなとか、専門の事務所行かなきゃダメなんだと、決めつけている。無理に社会常識をはめ込んでね。チャップリンの蚤のサーカスって知ってますか?私の著書『考運の法則』で詳しく紹介してますよ。

――いえ‥。御説明いただけないでしょうか。

鳥飼:チャップリンの『ライムライト』という映画なんだけど、蚤って、身長の5,60倍飛べる。蚤を放置すると、はねて逃げちゃうからサーカスできない。じゃあということで、蚤をビーカーの中に入れると、蚤は飛びはねてビーカーにぶつかる。人間だったら、ぶつかったらやめるじゃない。一度ぶつかったらもうダメだと。でも彼らはバカだから、どんどんぶつかっていく。それでもいつしかダメだとわかるらしいんだ。そうすると、天井まで行かないところまで、横でもぶつからないところでやめるようになる。それをみていて、ビーカーを外すんだって。本来なら、そうすると逃げることができるだろ、能力から言えば。でも、そこでぶつからないように飛ぶようになっている。そこにずっといる。それで芸が出来るようになる。
 つまり何かというと、蚤は自分の能力を限定してしまうんだ。人間は1回ダメだと思ったらそれでやめてしまう。就職できない、一生ダメだと、そういう敗北感で一生を送る人が多いんだけど。失恋した、それで一生ダメだと。失恋っていうのは、もっといい人に会える、チャンスなんだ。飛び出せるだろ。もっといいのがたくさんあるじゃないかと。でも修習生やわれわれもそうで、法律家ってこんなもんだとか、ロースクール生で研修所いって就職するべきだと勝手に決めつけている。それを自由にしたらどうですかと言いたい。

――先生のおっしゃっている専門性の身につけ方は、ロースクールにいる中でも意識できそうですね。

鳥飼:ロースクールってさ、優秀な教授の方がたくさんいるじゃないですか?学問だけ学ぶより、人間として付き合った方がいいですよ。自分の人間性を高められるし、仕事が後で分かんないときに教えてくれるし、専門家も紹介してくれる。ネットワークつくるの最適じゃないですか。勉強は仕事やってればいくらでもできるんだから、そこを勉強だけってもったいないですよ。自分の周りに優秀なロースクール生がいるでしょう。競争相手じゃないんだよ。この人は自分の仕事を手伝ってくれる人なんだよ。そういう発想をロースクールでできたらいいよね。

6、最後に

――自分も先生のお話を聞いて、ロースクールにおける学習や、弁護士になってからの仕事に関して、これはこうでないと大変だとかそんな考えにとらわれてるところがあります。

鳥飼:ほとんどの人間はとらわれてるんだよね。自分の心に壁をもってると安心なんだよ。でも、安心してたらもう絶対成長しない。それをいかにやぶるか。少し壁を壊すと前やれてないことができるようになる。逆にいうと、自分の考え方で自由にできるんだよ、人生って。つくられた人生で満足してる人が多いけど、私みたいな人生からすると、もっといろんな人生つくれていいんじゃないかと思いますよ。チャンスたくさんあるんだから。弁護士はちゃんといい仕事をやってたらお金はちゃんとついてくるんだから、お金がとれるかとれないか心配しないでいい幸せな職業ですよ。
 たとえば、就職できない人。まさに壁にぶつかってると思うんだけど、それチャンスなんだ。なんでチャンスに見えないのか不思議な気がする。仕事がないからこそ、自分で仕事を探す、自分が仕事をつくる。今までの弁護士が誰も持ってないノウハウを自分でつくりあげる。一定の業界なら業界で、この人は先駆者だと言われるようになる。これ簡単じゃない?  ロースクールに来たんだから、そういう意味で本当の希望をもってほしいな。

――本日はありがとうございました。

<プロフィール>

弁護士 鳥飼重和
中央大学法学部卒。税理士事務所勤務後、司法試験合格。第二東京弁護士会。
会社法を中心とした企業法務、税務訴訟などを専門分野としている。
鳥飼総合法律事務所代表(2010年7月現在、所属弁護士34名・税務部4名)。
参考図書:『「稼げる」弁護士になる方法』(すばる舎リンケージ)、『「考運」の法則』(同友会)

弁護士 石井亮
早稲田大学法学部卒。第二東京弁護士会。租税訴訟、国際租税、税理士賠償請求事件など税務案件全般を得意分野とする。